畜産部の紹介

最高級牛肉を生産する但馬牛の改良と試験研究の取り組み

 但馬牛の市場優位性を確保するために、雄・雌両面からの改良が求められており、種雄牛づくりを担っている当センターでは産肉能力に優れた種雄牛の育成・選抜を進めています。
 本県では、従来から中土井系、熊波系、城崎系による改良を進めてきましたが、肉質改良に伴う需要の高まりから中土井系の種雄牛に利用が集中し、現在では近交度の高まりによる弊害が危惧されています。他県の牛との交配をしない閉鎖育種を継続していく上にも、熊波・城崎系の維持が必要となっており、これらの系統維持を図るとともに効率的な飼養管理技術の開発を行い、但馬牛のさらなる能力向上に取り組んでいます。
 また、家畜の育種改良分野にもDNA情報を応用した技術開発が進められており、但馬牛についてもこの技術をとりいれた改良が求められています。このような背景のもと、平成18年4月に畜産部に新たに家畜育種部門が新設され、DNA育種による選抜に取り組むことになりました。 

・高能力種雄牛の作出 

但馬牛の高能力種雄牛の効率的な作出を進めるために、産肉能力等の遺伝的能力を数値化した育種価を基にした計画交配や育種価が高く遺伝的に特徴がある雄子牛を毎年16頭選定し、その後の産肉能力直接検定(候補牛の増体量、飼料効率、精液性状等を調査し、主に種牛性に関する能力を評価)、現場後代検定(産子の試験的肥育を行い、と体の肉量や肉質を調査して、種雄牛の産肉能力を評価)を実施し、こうした二段階の産肉能力検定に合格したものが県有の基幹種雄牛となり、その精液は農家で飼育されている雌牛に利用されます。

直検牛

・但馬牛優良系統の保持

 中土井系、熊波系、城崎系の維持造成により、各系統の遺伝的特質を保持することで多様性に富んだ但馬牛の造成を図っています。 また、育種価評価によって選抜した農家の優秀な雌牛を借り受けて、計画的に受精卵を確保するとともに受精卵移植を活用して、優秀な種雄牛の早期造成を図っています。 

 採卵

・モダン但馬牛の作出

 育種価を活用して、血統的3系統あるいは肉質・肉量の形質的系統間による計画交配を行い、質量兼備の但馬牛を作出するように努めています。

・試験研究の取り組み 

 近年、母牛の泌乳量の減少に伴う子牛の発育不良や分娩間隔の遅延が問題となっています。このため、子牛の発育改善技術の開発や繁殖牛の分娩間隔の短縮に向けた技術開発や自給飼料向上を目指したイネホールクロップサイレージの給与技術の開発、遺伝情報の解析よる美味しい但馬牛生産に取り組み、生産農家の高位経営安定化を目指しています。
 具体的には、次の試験研究課題に取り組んでいます。
1 新育種手法開発調査試験
2 繁殖和牛に対応した飼料イネの循環型高位生産・給与技術の開発と実証
3 高蛋白飼料を利用した子牛の育成期の飼養管理法の確立と実証
4 粗飼料多給で良好な発育が可能な和子牛育成技術の開発
5 受精卵(胚)の遺伝情報を利用した高能力牛の生産 
6 黒毛和種牛の繁殖成績低下の要因分析とその改善技術の開発
7 但馬牛の有用機能・経済形質関連遺伝子の効果

母子分離
子牛の哺育育成試験


哺乳ロボット

・県北部に適した飼料作物の選定と栽培技術の開発

 県北部に適した飼料作物の品種選定のための実証を行っています。
 冬作には耐雪性に優れたイタリアンライグラス、夏作には湿害に強く多収性に優れたソルゴーを検討しています。

飼料畑

主な施設

家畜育種研究棟

 遺伝子解析による但馬牛の改良を目的に平成18年9月に開設しました。遺伝子解析室には、遺伝子解析装置や4台の遺伝子増幅装置があります。
 但馬牛の改良に必要なDNA育種の技術開発に取り組み、但馬牛の特質を更に伸ばしながら消費者ニーズにあった競争力の強い但馬牛づくりを推進します。

牛舎

  1. 直接検定牛舎:雄子牛32頭、種雄待機牛7頭を繋養
  2. 後代検定牛舎:現場後代検定(肥育牛)5セット40頭を毎年導入
  3. 試験牛舎  :分娩前後1か月の雌牛を繋養(約50頭)
  4. 育成牛舎  :雌育成牛及び離乳子牛を繋養
  5. 系統牛舎  :系統維持のための雌牛(熊波系、城崎系80頭)を繋養
  6. モダン牛舎 :モダン但馬牛を含め中土井系を主とした雌牛(120頭)を繋養
  7. 隔離牛舎  :導入牛、隔離牛を収容
牛舎

人工授精棟

 種雄牛候補育成牛及び待機牛から精液採取を行い、精液性状や受胎能などの検査を行っています。また、場内牛のほか、但馬・丹波地域の優秀な雌牛から受精卵の採取を行っています。

精液採取

堆肥処理施設

 各牛舎では、敷き料としてオガクズを使用し、糞尿の混ざった状態で堆肥舎に搬入しています。季節や外気温の影響の少ない吸気・送気微生物発酵方式で1日約6.3トンを処理しています。発酵期間中に数回ショベルローダーで切り返しを行い、堆肥化までの日数は約40日です。

堆肥舎

放牧場(約10ha)  

 放牧場は3区に区分けし、使用しています。妊娠牛約30頭を6月から11月にかけて放牧しています。省力管理のため、音楽による集畜管理技術を開発しました。
 午後4時にスピーカーから「帰って来いよ」の曲が流れますと、所定の場所に集まってきます。

放牧

 

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